国際協力したい!OLのブログ

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ジェンダーと難民問題に興味あり。人生を模索中。

難民の状況を知ろう!BBCのロールプレイングゲームをやってみた。

今日はBBCが作った、「シリア難民のシリア脱出の旅」を体験できるロールプレイングゲームを紹介します。
 

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BBCより

 

 どんなゲームなの?

「Syrian Journey:Choose your own escape route」というこの記事は、タイトルの通りあなたがシリア難民になったと仮定し、ヨーロッパへ避難することを目指しています。
◇シリアから脱出しどこの国に行くか?
◆陸路で行くか海路で行くか?
◇ブローカーにお金を払うか?
など様々な選択肢が用意されており、自分の選んだ選択によってゴールが変わります。
 
このゲームをすることで、シリア難民がどのような苦難に遭いながらヨーロッパを目指しているかを疑似体験することができます。実際にシリア難民の方々に調査して作成したそうで、実にリアルな設定になっています。
気になった方はぜひやってみてください!
※言語は英語で設定されていますが、非常に簡単なレベルに設定されていますので最悪選択肢の部分のみ理解できれば問題ないと思います。
 

やってみた感想

以下は私がやってみた感想です。
ネタバレになってしまうので「ちょっと待てよ!」という方はプレイしてからご覧下さい😄
 
ヨーロッパへの旅はシリアを脱し隣国レバノンから出発します。ヨーロッパへ上陸するために、まずどこの国に行くべきか早速選択が始まります。

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BBCより

 

選べるのはエジプトとトルコ。
エジプトへ行ったら海路でイタリアという方法しかなさそうですね。トルコだとギリシャに行くのに陸路か海路かまだ選べそう。でも航空券が高い…。
 
ちなみに学生時代に難民問題の広報活動をしているときに「飛行機乗るくせに難民なのかよ」と言われたことがあります。これは「難民=極限状態に置かれていて、お金がない」というイメージがあることが原因だと思いますが、「難民=貧乏な人」ではありません。むしろ経済的理由で他国に行く人は国際法上では難民と認められていません。このような誤解が日本はまだまだ多いなあと思います。
 
だからと言って難民がギリギリの生活を強いられていることに変わりはないんですけどね。ちなみにこのゲームの設定だとシリアを脱出するときに家を売った20,000ドルが全財産です。(わかりやすくするためここでは1ドル100円で考えます。約200万円が全財産ですね)
 
レバノンからトルコまで航空券は一番安くて約60,000円くらいでした。家族6人だともう36万円ですね…。
エジプトまでだと13,000円くらいで行けます。安さは魅力ですが海路しか選択肢が残されていないことを考えるとはじめは慎重にトルコを選びました。
 
 .。○◯
トルコに着くと「俺がギリシャに行かせてやるよ!」と甘い言葉を持ちかける男がいます。はい、ブローカーです!

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BBCより

 ここで密談します。

 
この男はデポジットとしてまず家族1人につき3,000ドルを払えと言ってきます。
ふ〜ん3,000ドルねって、それ日本円にすると30万円だよ?てことは家族全員で180万円払えってこと?全財産がなくなるよ?ていうかさっきレバノンからトルコまで航空券代払ったから多分そんなにお金持ってないよ?無理じゃない?
 
でもここで拒否してトルコに留まってても仕事もないし次のチャンスがあるかわからないし飢え死にするだけ…。どうする。
 
悩みに悩んだ結果、ギリシャとトルコは陸続きになっているから歩いてギリシャに行くことができるのではないかと考えブローカーの申し出を拒否しました。

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BBCより

 

  .。○◯

そうしたところ、この主人公は別の信頼できる仲介業者を挟み、ギリシャ到着後に仲介業者にお金を払ってブローカーは仲介業者から報酬を受け取るという取引をしていました。
あ、歩いてギリシャに行くっていう選択肢はなかったのね…それは無謀すぎるのか。
グーグル先生に聞いてところイスタンブールからギリシャ国境の町エディルネまでは約250キロ、まる2日歩き続けなければならない距離でした…。
 

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google mapより

 小さな子供連れて歩くのは無理ですね。男の大人だけならまだしも。

 
 .。○◯ 
さてブローカーに案内されることになりましたが、ここでついに陸路で行くのか海路で行くのか決断をしなければならない時がきました。陸路で行くと比較的安全だが捕まる恐れがあります。逆に海路で行くと捕まる恐れがないが転覆など死亡のリスクが高まるらしいです。また料金も陸路の方が高額です。
いやでも待って捕まるって誰に捕まるの?なんで捕まるのよ。こっちは必死の思いで逃げているだけで、何も悪いことしていないのに。
 
それでちょっと調べてみたらありました。

www.afpbb.com

トルコの警察が移民が越境することを阻止していたようです。
ただ理由がよく分からない。ギリシャからしてみると不法入国になるのでギリシャ警察が取り締まるならわかるのですが、なぜトルコ警察?ギリシャと取り決め等をしているのでしょうか。気が向いたら調べてみます。
 
先ほどの選択肢に戻ると、選んだのは陸路でギリシャを目指すルートです。海路で行ったら高確率で死亡してしまう。ただ陸路だと死ぬことは少なくともないだろう、という算段です。
が、しかし…
 
 .。○◯
ギリシャとの国境の町エルディネに近づきます。国境沿いには皮が流れており、ボートで渡らなければならないとのこと。
ボートはええ、はい、いつ破れてもおかしくないゴムボートです…。せっかく海路を避けて安全を重視したのに…。2つのグループに分かれ、ぎゅうぎゅう詰めにされていつ転覆するかも分からない恐怖の中ボートを漕ぎ続けます。しかも付近にはトルコ警察がいるため静かに静かに進まなくてはなりません。
 

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国境を分けるメリチ川(ウィキペディアより)
 
なんとか川を渡りきり対岸にたどり着きます。やった!ギリシャに到着したぜ!
と思ったら喜びもつかの間、もう一つのグループのボートが転覆し人々が川に投げ出されます。人々はパニックに陥り、水飛沫と助けを求める声が川の付近に響きます。
 
せっかくここまで来たのに、騒がしくするとトルコ警察に気づかれてしまう!という絶体絶命の中で、森の中に家族で逃げるか溺れている人々を助けに行くか選択を迫られます。究極の2択ですね…。
本当は家族とギリシャにさっさと逃げてEUの庇護を受けたいけど、でもでもここまで一緒に逃げて来た同じ境遇の人々を見捨てることもできん。悩みに悩んで(悩んでばっかりだ)助けに行くことにしました。
 
 .。○◯
どうやらこのターンが最後の選択だったようです。結局助けるために川に戻った私は、騒ぎを聞きつけたトルコ警察に捕まり家族の中で1人だけギリシャに行くことができませんでした。家族はギリシャの難民キャンプで暮らしているそうですが、私はトルコの難民キャンプに留まったままです。
いつ家族と会えるか分からない。もしかしたらもう2度と会えないかもしれない。そんな不安の中でただ日々が過ぎていく毎日。というエンディングでした。
 

やってみた感想

 
長くなりましたが、結局私はギリシャに到着することができませんでした。せめてもの救いは愛する家族がギリシャにたどり着き、難民申請が通れば家族を呼び寄せることができるので再開のチャンスがないわけではないことです。ただ今のギリシャに膨大な難民申請をさばく余裕があるとは思えません。そもそも難民申請が受理されるかもわかりません。
もしかしたら、ギリシャに行けなくても家族で一緒にいることができたなら、その方が幸せかもしれません。それは当事者にしかわからないことです。
 
やってみた感想として、主に次の3つのことをあげたいと思います。
 

①決断に迫られた時、どちらも辛い道であったとしても必ず選択をしなくてはならない。

逃げるという選択肢は残されていません。逃げるはすなわち死を意味します。どんなに辛くても、その時の最善を自分で考えて行動するしかない厳しさを実感しました。
 

②全てを瞬時に判断しなければならない。

①と関連していますが、楽で安全な方法は保証されていません。しかしどの道が最善かと検証する時間もありません。ゲームの最後の選択肢では、長い時間をかけて悩むとトルコ警察が気づく危険がどんどん大きくなります。このような状況で、家族を守り無事に目的を果たすことができるかは、運次第になってしまいます。
 

③抗議する手段が、「ただ訴えること」しかない

難民を救えるか否かは、難民の努力次第ではなく国際社会の鶴の一声にかかっている面があります。ただ当事者はそれにアクセスできる手段が何もないです。できることは、例えばトルコ警察にギリシャへ行かせてくれと訴えることのみです。

 
 .。○◯
いかがでしたでしょうか。
ニュースで目にする難民の話は、「大変な人がいるんだなあ」というぼんやりとした感想程度だったかもしれません。
BBCのゲームをやることで、当事者の苦悩や焦りを少し実感できると思います。皆様ぜひトライしてみてください!